脂質について考えよう


タンパク質糖質ときたので
三大栄養素の最後
脂質について書こうと思います。


脂質の役割は糖質と同じく
「エネルギー源」
になることです。


そして中学理科で習ったように
糖質やタンパク質が
1gにつき4kcal であるのに対し

脂質は9kcal
とエネルギー値が高い
ことが特徴です。


これをもって
「脂質は太る」
と理解されている方。

はっきり言って
それは間違いです。


脂質は太るのではなく
糖質にしろ脂質にしろ
食べ過ぎるから太るのです。


むしろ日本では
この脂質に対する正確な知識
もあまり広まっていないのではないか
と思っています。


脂質、大事です。


腸内研究の第一人者
藤田紘一郎の著書
「なぜ油をかえると、長生きできるのか」
(三笠書房)にもある通り

「油脂は健康な体づくりに不可欠なもの」です。


その理由のひとつが
「脂肪酸が細胞の膜をつくる原料となるから」
私たちの体は
約60兆個の細胞から構成されており

この細胞を一つ一つを包んでいる細胞膜が
主にこの脂質からできているのです。


体に吸収された油脂は
「コレステロール」
「リン脂質」
「遊離脂肪酸」
「中性脂肪」
に合成され

血液のなかでも
血漿と呼ばれる液体成分
に流されます。


これらの脂質には
それぞれ以下のような役割があります。


コレステロール

細胞膜や体の機能を整える
ホルモンの材料となる。

以前は健康に良くない
減らすべきもの
というイメージでしたが

今はコレステロール値の高い人
のほうが長生きする
と言われています。


リン脂質

細胞膜の材料になる。

体内の脂質を水になじませる。

ブドウ糖、電解質、炭素、
炭酸ガスの細胞への出入りを助ける。


遊離脂肪酸

体内ですぐに使用されるエネルギーになる。


中性脂肪
(食事から摂る脂質の90%を占める):

肝臓や脂肪細胞に蓄えられる
貯蔵用のエネルギーになる。


ざっと読んだ方。

とにかく体にとって大事だってことだけ分かって。


あととても重要な役割として

脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)
の吸収を助ける


ことが挙げられますね。


普通に食事を摂っていれば
脂質の不足はまず起きませんが

極端なダイエットや
油抜きダイエットをした方
には脂質の不足が起こり

その結果
脂溶性ビタミンの吸収
が悪くなる
という弊害が生じます。


さて、油脂には
脂肪酸というものが含まれており

大きく
「飽和脂肪酸」
「不飽和脂肪酸」とに分けられます。


飽和脂肪酸はおもに
動物性の脂(牛や豚などの脂身、
卵、バターなどの乳製品)
に含まれており

血中コレステロール
を上昇させる働きがあります。


植物性油のなかでも
ココナッツオイルや
パーム油にも多く含まれますね。


それに対して
不飽和脂肪酸はおもに
魚類や冬野菜に多く
含まれており

血中コレステロール
を下げる働きがあります。


少し前に有名になった
不飽和脂肪酸には
魚の油であるDHA
とかがありますね。


植物油に多いリノレン酸や
魚油に多いEPA(エイコサペンタエン酸)と
DHA(ドコサヘキサエン酸)は
血栓の予防に役立ったり

炎症を抑制することから
各種炎症性の疾患に有効である
ことが分かってきています。


ちなみに脂と油の違いですが
「常温で固体のものが脂」
「常温で液体のものが油」です。


さて話が長くなってきましたが
もう少し大事な情報を
書いておかなければなりません。


それが、不飽和脂肪酸のとり方です。


ざっくり説明すると
不飽和脂肪酸にも
いろいろな種類があるのですが

そのなかでも
「オメガ3脂肪酸」
「オメガ6脂肪酸」
というものがあり

両方とも体にとって
不可欠な栄養素でありながら
体内で合成できないため
「必須脂肪酸」
と呼ばれています。


このオメガ3脂肪酸と
オメガ6脂肪酸ですが

簡単に説明すると
オメガ3脂肪酸は
「細胞膜を柔軟」にし


オメガ6脂肪酸は
「細胞膜を硬く丈夫」

にします。


大切なのはこのバランスで
栄養学的には
オメガ3とオメガ6の比重は

せめて1対4にすべきと言われています。


ですが現在の私たちの
オメガ3脂肪酸と
オメガ6脂肪酸の摂取比率は

1対201対30
くらいになっています。


つまりバランスが大事
だといわれる不飽和脂肪酸なのに
比重が著しく偏っている。


オメガ3脂肪酸は
亜麻仁油や荏胡麻油
に多く含まれます。


またホウレン草や青梗菜
などの青菜にも含まれます。


DHAやEPAは
アジやイワシ、
サンマ、サバなどの
青魚に豊富です。


一方のオメガ6脂肪酸は
サラダ油、大豆油、コーン油
ゴマ油、ひまわり油、グレープシードオイル
などに多く含まれています。


これらリノール酸を主成分とする油は
レトルト食品やインスタント食品
冷凍食品、お菓子
マヨネーズやドレッシング
にも多く使われています。


自分の食生活を振り返ってみたとき
どちらの脂肪酸を多く摂っているか
一目瞭然ですね。


まったく意識せずに生活していれば
このバランスの比重は
非常に偏ったものとなってしまいます。


どのように毎日の食生活に取り入れるか
はその人次第だと思いますが

まずは正しい知識を持って
そして意識することから
スタートするしかありません。


そして糖質のところでも述べましたが
海外では禁止の動きが出ている
トランス脂肪酸。


このトランス脂肪酸というものは
「不飽和脂肪酸を加熱し
水分を蒸発させ
脂肪酸を凝固させたもの」
とあり

しかもそのうえで
「脂肪酸に水素分子が加えられたもの」
です。


問題となるのは
この「水素を添加する」
という人工的なプロセス
にあり

そうすることによって
脂肪酸の化学構造が
変化します。


つまりトランス脂肪酸とは人工物であり
自然界には存在しない食べ物

というより

普通に考えたら食べ物
とは呼べない物質

なのです。


自然界に存在しないということは
人体にはそれを消化・分解する酵素も存在しない
ということになります。


トランス脂肪酸の代表的なものが
「マーガリン」と「ショートニング」で

これらの構造は
プラスチックとほとんど変わらない
と言われています。


以上の情報は
「医者いらずの食」
(内海聡 キラジェンヌ株式会社)
に詳しく載っていますので

食と健康について考えてみたい方
はぜひ読んでみてください。