河合隼雄先生のことば


私が敬愛してやまない今は亡き
河合隼雄という臨床家がいます。


河合隼雄先生は今の日本の
臨床心理の祖であり

臨床心理士設立に尽力した
知の巨人です。


私は高校生のときに
ユング心理学に興味を持ち

そこからユング心理学の第一人者であった
河合隼雄先生の本も読み漁ることになりました。



私が大学院生だったときに

臨床心理士をめざす院生を集めた
大規模な合宿があり

そこに河合隼雄先生が降臨する

ということもあって
私もその合宿に参加しました。


その合宿では心理の世界で
それこそ大御所と呼ばれる先生方が集まり

未来の臨床家に向かって
交流を持ってくださいました。


そして合宿の最終日


私は河合隼雄先生に質問する
機会を得ることができました。


「私は心の傷と癒しというテーマで
修士論文を書いているのですが
先生にとって癒しとはなんでしょうか」

という質問に対し


先生の答えはこうでした。


「ぼくは人間誰しもが心の傷を抱えている
と思っている。

それをどう癒していくかということが
その人の人生になると思う」



河合隼雄先生のすごいところは
このようにアバウトなことばの意味を
一瞬で、一点に集約してみせるところで


ほかにも


「カウンセリングは真剣勝負だよ。
一瞬だよ。
一瞬でその人の命をかけた質問に
答えなくちゃいけないんだよ」


とおっしゃっていたことも印象的でした。

その合宿ではほかにも北山修先生と
出会うことができたのですが

北山先生からは


「君の質問への答えのひとつはね
自分の傷をたどってみることだよ」


ということばをかけてもらいました。



多くの素晴らしい臨床家と出会い

導いていただき

ことばをかけてもらいました。


当時はネットがここまで
発達していませんでしたが

今の時代になり

こうした偉大な先達のことばを
シェアできるようになるって

すごいことだなと感じます。



私がかつてかけてもらったことばが

誰かの心の灯になりますように。