カウンセラーのお仕事紹介(保健センター編)

今までに、埼玉県内の
4つの市町村の保健センター
に勤めてきました。
今回はこれまでの経験をもとに
保健センターにおける
臨床心理士(公認心理師)の仕事内容
をご紹介したいと思います。
まず初めに
保健センターという職場について
大雑把に押さえておきますが
保健センターとは各市町村に
ひとつは設置されている公的機関であり
そこで働いているのは
主に保健師さんになります。
他には当然、
地方公務員としての事務方スタッフ
そして非常勤の専門職として
管理栄養士さんや
作業療法士さん
心理士(師)がいます。
保健センターの仕事内容は
多岐に渡りますが
心理士(師)が関わるところとしては
乳幼児健診
親子教室
育児相談があります。
乳幼児健診とは生後2,3か月に始まって
1歳6か月健診
3歳児健診があり
ところによっては
5歳児健診を実施しているところもあります。
乳幼児健診で何を見ているかというと
子どもの体の発育状況
病気の有無のチェック
そして精神発達全般のチェック
ということになります。
子どもの発達は個人差があるものの
ある一定の道標に沿って進化していくものです。
このうち1歳6か月健診と3歳児健診では
人の発達として特に重要な項目の表れる月齢として
重要な意味を持ちます。
子どもの発達チェックには
見るべき項目が多々ありますが
特に押さえておかなければならないものとして
1歳6か月健診での
「有意語の出現」と
「歩行の開始」があります。
有意語とは、今までの喃語
(あぶあぶ言っているけど意味を持たないことば)ではなく、
明らかに対象に対して
それを指し示すことば
を発することを言います。
オーソドックスなところとしては
「わんわん」
「まま」
「ぱぱ」
とかですね。
これが最低一つは出ていることが
正常な発達を示しているひとつの項目
となります。
そして、転ばないで上手に歩けているかどうか。
この2点が
1歳6か月健診でチェックするべき
重要項目となります。
そして次にくる
3歳児健診で見るべきポイントとしては
「自我の芽生え」と
「社会性を身に着け始める」ことが挙げられます。
1歳6か月ではことばが
一つでも二つでも出現していること
がポイントですが
3歳ではそうしたことばが
出ているかにとどまらず
「言語理解もされているか」
が大切になってきます。
表出も単語(ひとつのことば)にとどまらず
3語文「ママ、そと、いこう」等
を操ることが可能になっています。
そうしたことばという
コミュニケーションツールを使いながら
周りの人たちに関わりかけていく
そうしたことが可能になっているのが
3歳児ということです。
さて、こうした乳幼児健診で
子どもたちの発達状況をスクリーニングしながら、
発達が気になるお子さんに対しては
「親子教室」や「育児相談」
を勧めることになります。
これは集団で行う健診に対し
ある程度時間を取って
保護者のかたからお話を伺ったり、
子どもの様子を観察していく
ステージになります。
親子教室はだいたい
月に1回程度保健センターで開催されます。
ここでは保健師さんや作業療法士さんが
子どもと遊びながら
子どもの発達の経過を見守り
また、遊びを通して
子どもたちの発達を促す
働きかけを行います。
マンツーマンではなく
数人のお子さんたちの集団
で行うことが一般的です。
親子教室では保護者のかたにも
参加していただき
保護者同士のコミュニティを形成したり
作業療法士さんの子どもへの
関わり方を見てもらって、
日々の子育ての参考にしてもらったりしています。
そして育児相談がいわゆる個別相談にあたり
保護者の子育て上の不安や悩み
夫婦や両親(義両親)との関係など
をお話していただくことによって
保護者のかたのストレスの軽減
を図っていきます。
乳幼児健診にしても
親子教室にしても
そして育児相談にしても、
その目的は常に
「子育て支援」です。
健診では子さんの発達のチェックをしますが
これは「異常を見つける」ということではなく
「発達に特徴のあるお子さんを育てることは
ある程度の知識が必要であること。
普通のお母さんが
普通の子育てをしようと頑張れば頑張るほど
うまくいかなくて母子ともに
ストレスがかかって大変になってしまうので、
その負担を軽減するために
専門家が子どもの代弁者となって
お母さんに子育てのアドバイスを行うこと」
だと思っています。
心理士(師)にとって大切なことは、「子どもの代弁者となること」です。
そして
「お子さんは、こうして欲しがっているのかもよ」
「わがままではなく、こうしたかったのかもね」
と伝えることで
保護者のかたが
「ああ、そうだったの」
と気づくこと。
「なんでそうなの?」と怒っていたのが
「こうしたかったのね」と分かってあげること。
この体験が子どもにとっても
保護者にとっても
子育てを楽にしていく
ポイントだと思っています。
保健センターでは
心理士(師)はこうしたお仕事をしています。